呪物マーケットに行く。


朝食を食べに行こうと思ってホテルを出た瞬間「Are you a Japanese?」トーゴ人に声をかけられた。馴れ馴れしく声をかけてくる人は基本的にかまわないんだけれど、少し話してみるとガーナ大学(私の通った大学院)で植物学を勉強したことがある人らしい。
トーゴ大学の教授が経営しているきれいなホテルが近くにあるのでそれを紹介してくれるという。とりあえずそれで見つかったらラッキーなので彼のバイクで連れて行ってもらった。


ホテルはものすごくきれいで値段も手ごろで(1500円ぐらい)ここに決めました。これでゴーストホテルから出られる。やったー。どうやらこのヤオという人、教授からも信頼されている人らしく、私が行ってみようかなーでもどうやって行けるかなー、と思っていた「呪物マーケット」に連れて行ってもらえると言う。

この呪物マーケットは西アフリカ最大の呪物専門のマーケットで西アフリカ各地から呪物師がやってきては呪物に必要な材料を調達していくらしい。
こんなに品揃えがいいところは他に無いらしい。どんなものが売っているのかはわからないけれど。見る価値はありそう。


町の中心部を通り、トーゴのスーパーマーケットをひやかした後、しばらくバイクで走って呪物マーケットに着いた。思っていたより全然小さい。現在改装中らしい。まず入って目に突いたものは「サルの頭蓋骨」。それから干からびたカラス、カメレオン、ハリネズミ、蛇。ライオン、バッファローチーター、象、いろんな小動物の頭蓋骨や骨。乾燥させてはあるけれど独特の異様なにおいを発している。これは品揃えがいいと言われるわけがわかる。店の亭主がガイドをするといって吹っ掛けてきたので当然半額に負けて、その色々な物の効用とやらを聞かせてもらう。


その効用は「記憶力増進」「体力増進」「美しい声に変える薬」「狂犬病」「精力増進の薬」などなど。どれもほとんどすり潰して粉にしたものを水に溶かして飲むらしい。漢方薬のように飲み続けるではなく一回飲んだら驚くように効くらしい。なんとも迷信くさいなー。でも飲んだ人が効くと思えばなんでも薬になりえるのかもしれないなー。


店の亭主に「呪物師があなたをお迎えしている」と怪しげな言葉で呼び寄せられ部屋に入った。
彼の前に座ると「あなたの名前を述べなさい」と言う。その名前を部屋に置かれている精霊(人型をした木彫りの人形に装飾が施されている)に紹介する。
続いていきなり「呪物師おすすめのお守り紹介」に入った。そのお守りは「旅の安全」「合格祈願」「恋愛成就」「商売繁盛」「家内安全」などなど日本と全く同じようなお守りばかりだった。どこの人たちも同じような願いを持っているのだなー。


それを一通り見せた後「欲しいお守りをすべてこの入れ物のなかに入れなさい」と言う。押し売り商法である。
「いくらかわからないのに選べない」と私が言うと、「あなたが選んだものを精霊様に問うてみるのだからまず選びなさい」と言う。
「ほー、精霊様がお決めになった」とか言って高い金額で売りつけるわけかー。面白い。まー、試しに選んでみるか、と思って宇宙人みたいな顔をした「家内安全」のお守りを選んでみた。


呪物師はまじないをして「5000セイファです(約1000円)」と言う。アフリカでは破格の値段である。「ほー、白人だからって随分ふっかけてきたなー」と思ってすかさず「2000セイファにして(約300円)」と言った。結局4000、3000、、、と負けて言い値になった。
最初から2000セイファでいいのに5000セイファなんて随分ふっかけてくる精霊様だわー。
まー、話土産に買ってきた「家内安全」のお守り。埴輪みたいでなかなかキュート。
1年に一回口にタバコを入れて吸わせてあげるとよいとのこと。タバコが無ければ水でもファンタでも言いそう。(結局何でもいいんじゃん)変なのー。アフリカって面白い。(ちなみにアフリカでは買い物に交渉は付き物。私は通常言われた値段の3分の1から半分ぐらいを目処にして買い物をするようにしています。)


呪物マーケットの様子はFhotolifeにも写真載せました。見物ですよ。