伝統的なシアバター石鹸作りに挑戦!!


今日はKpongu(私が通っている村)での定期ミーティングの日でした。先々週のミーティングでおばちゃん達は「あなたが知ってる石鹸作りの方法を教えて欲しい!」と言ってきました。彼らは「シアの実を使った伝統的な石鹸の作り方」は知っているけれども、何か違った方法で石鹸を作ることができるのならそれにも挑戦してみたいそうなのである。


そこで私はインターネットを使っていろんなタイプの石鹸作りを入手しました。でもほとんどの材料はここで手に入らない、もしくは高い、という問題点にぶち当たりました。


そこでまずはこの地域でずーっと昔から作られていて、今でもよーく作られているアバター石鹸を私自信が学ばせてもらうことにしました。今日はそれを勉強しに行ったのです。ワー、楽しみ!!


それではまず石鹸と言うのを簡単に説明すると「動植物の油脂」に「水酸化ナトリウム(苛性ソーダとも言われる)」を加えて作ります。石鹸というのはとっても長い歴史があって、たとえば昔、日本では海草の灰をソーダとして利用して石鹸を作ったりしていたそうです。ふーん。でも現在は薬品である水酸化ナトリウムを使っています。ただこの薬品かなりの「劇薬」で触ると指紋が無くなったり、皮膚が溶けてしまいます。こわーい。


でもって、Kponguではこのソーダを木灰を使って作ります。今日作り方を見ていてわかったのはその材料として「ダワダワの木」もしくは「ヒエの幹」を燃やして灰にしたものを
使います。(どちらも日本では身近に無いので想像しにくいかも知れませんね)それをバケツに一杯用意して上から水を注ぎます。バケツの底にはあらかじめ小さな穴が開いてあって、底から灰汁が滴り落ちてきます。待つこと6時間。溜まった灰汁(にごり水といった感じ)を今度は煮詰めていきます。これも待つこと3時間。完全に煮詰まると真っ黒くて粉っぽい物質に変化します。


油脂としてここでは「シアの木の実で作った油」を使います。液体状になったシア油を熱しそこに灰汁を入れます。それをよくかき混ぜながら熱し、頃合を見て火から下ろします。油脂と灰汁の割合はシアバター作りで一番難しいところらしいです。でもこれ「勘」に頼るそうで、それで良く失敗もするそうです。オー。(シアバター石鹸作りは「博打」みたいなもんなのよ、と言っていました。運に任せる、って感じらしいです。なんとも無責任で楽観的な!!んー。)


次に火から下ろしてしばらく経つとポロポロとした固形になります。それをおにぎりみたいに手で丸めて出来上がり!!


<使ってみての感想>
泡立ちはあまりよくないかも知れないけれど、それを使って手を洗った後の感覚は「しっとり」って感じです。シアバターの油分が肌に少し残った感じで乾燥の激しいガーナ北部の気候にはとてもあってる感じがします。今日お風呂でさっそく使ってみたんだけどお肌がしっとりしました。石鹸の色が茶色なのがちょっと気持ち悪い感じがしたけど日本で「自然100%のお肌しっとり石鹸」なんて売ったらそれなりに売れるかなー、なんて思ったり。


<おばちゃんにインタビュー>
アバター石鹸作りは時間もかかるし、木灰を沢山用意しなければならなかったりして「大変だなー」という印象が残りました。でもおばちゃんに聞くと「別に時間がすごーくかかるって感じは全然しないわー」なんて言ってました。やっぱり時間の流れ方が違うんだなー。で、石鹸なんて買ったってそんなに高いもんじゃないし、市販の石鹸のほうが泡立ちもいいし、どうしてわざわざシアバター石鹸を今でも作ってるの?という質問をしてみました。おばちゃんは「このシアバター石鹸は私のおばあちゃんのそのまたおばあちゃんの時代からずーっと作られてきたものなのね。だから私達もそれを学んで、作って、子供達に伝えていく義務があるのよ。」と言っていました。私は素直に「すごいなー」って感心してしまいました。私達日本人はそんなおばあちゃんのそのまたおばあちゃんがしてきたことになんてもう全然興味が無いと思う。常に新しいもの、新しいもの、と進んでいく世界で育ってきた私達にとってはそんな「温故知新」の精神は「日本が忘れてしまった大切なもの」のひとつなんだろうなー、と思う。


私達はアフリカ人から学べることがあるんだよね。そんなことを再確認できたとっても良い時間でした。


おしまい。